薬局で働く薬剤師は薬を受け取りに来た患者様からクレームを言われることがあります。
クレームの内容は多種多様ですが、対応の仕方を間違えると信頼を失う可能性が高いです。
クレーム対応のスキルは薬剤師にとって重要なスキルです。以下で具体的な対応の仕方とポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
薬剤師が受けるクレームの実情と対応の仕方
薬剤師が受けるクレームの種類はさまざまですが、そのなかでも生じる可能性の高いクレームとして、「薬の値段が高い」というクレームが挙げられます。「前より値段が上がった」、「ほかの薬局と価格が違う」など、お会計のときにクレームを言われることがあるのです。
薬の値段が変動するのには、調剤基本料の変更や診療報酬改定、来局のタイミング、お薬手帳の有無などの理由がありますが、それを患者様が知らないためにクレームが生じます。
このような場合、きちんと値段が違う理由を説明することで解決できます。患者様がお薬代について疑問を抱くのは当たり前のことなので、詳しい理由を説明せず、「国が定めたことなので」と突っぱねるのは良くありません。
調剤報酬改定や薬価改定などにより支払金額が変わるときは、薬局内の目に付くところに改訂内容を掲示しておくのがおすすめです。
また、「待ち時間が長い」というのもよくあるクレームの一つです。特に体調が優れない患者様にとって待ち時間が長いのは辛いこと。ただでさえ医療機関で長時間待ったというのに、薬局でも待たされればクレームを言いたくなるでしょう。
とはいえ、調剤は慎重に行なう必要があり、繰り返し確認することが欠かせません。複数の種類の薬を調合しなければならない場合は尚更です。
そこで、この場合は事前に待ち時間と理由を伝えておくのがおすすめです。患者様が不快な気持ちになってから謝るのではなく、急ぎの用事がないか尋ねたり、後日受け取る相談をしたりすると患者様の怒りが和らぎます。
なお、誤調剤によるクレームもあります。薬剤師も人間である以上、どれだけ注意していてもミスをしてしまうもの。薬を飲む前に本人が気付いてくれれば良いですが、気付かずに服用してしまうことがあります。
そのような事態を防ぐためにも、日頃から調剤業務を丁寧にこなし、複数人での確認を徹底するのが大切です。
クレーム対応する際のポイント
薬剤師としてクレーム対応をするときは、まず謝罪し、お客様の話に耳を傾け、事実確認を行なったのち解決策を提示するのがポイントです。お客様の怒りを増幅させないためにも、上記の順序を守って対応しなくてはなりません。
まず、クレーム内容がどのようなものであれ「不快な思いをさせてしまった」ことに対してきちんと謝罪し、誠意ある態度を見せます。
そして、積極的にお客様の話を傾聴し「聴いている」姿勢を示します。患者様の話を聞き終えたら事実確認を行ない、解決策を提示してください。
このとき、患者様に事実確認ができる質問をやわらかい言葉で投げかけ、状況を整理するのがコツです。クレームをするに至った経緯がつかめたら、具体的な解決策を考えます。
クレーム内容によって解決策は異なりますが、例えば料金が高くなったことに起因している場合はジェネリック医薬品への変更を進め、待ち時間の長さに起因している場合は再来局を促すなどしてください。
なお、解決策をすぐに提示するのが難しいときは、上司や責任者の力を借りるのも一つの手です。
まとめ
クレーム対応において初期対応は重要です。薬局側に非がない場合でも、患者様の言い分をしっかり聞くことが欠かせません。
患者様の言動が薬物治療を妨げると判断される場合には毅然とした対応も必要ですが、基本的にはコミュニケーションをとって解決します。
スムーズに対応できる環境を整えておくのも大切であり、クレーム対応の手順をまとめたマニュアルを用意しておくとよいでしょう。